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産業廃棄物とは 種類・法的規制・処理方法などをわかりやすく解説

産業廃棄物とは?
その種類・法的規制・処理方法・処理業者選びの注意点について解説

産業廃棄物は特定の業種から出る廃棄物で、事業ごみとは異なる規制があります。また、産業廃棄物の適切な処理は環境と法的遵守に必須です。ここでは、産業廃棄物の種類、法的規制、処理方法、そして処理業者選びの注意点について詳しく解説します。

産業廃棄物とは何でしょうか?

産業廃棄物とは 「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って生じた特定の種類の廃棄物を指します。
日本の法制度では、廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に大別されますが、産業廃棄物には、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類などが含まれます。

事業ごみ(事業系一般廃棄物)と産業廃棄物との違い

事業ごみと産業廃棄物は、どちらも事業者が排出する廃棄物ですが、「産業廃棄物」は事業活動に由来する特定の種類の廃棄物であり、一般的には有害な性質を持つもの(例:燃え殻、汚泥、廃油など)が多いです。
一方、「事業ごみ(事業系一般廃棄物)」は、事業者が排出する産業廃棄物以外の廃棄物で、一般的には有害な性質を持たない(例:オフィスの紙くず、食品廃棄物など)ものとされています。

「産業廃棄物」は主に製造業、建設業、医療業など特定の産業で排出され、「事業系一般廃棄物」はオフィス、小売業、飲食業など、特定の産業に限らず幅広い事業活動から排出されています。処理責任においては、「産業廃棄物」は排出事業者が処理責任を持ちます。「事業系一般廃棄物」は、市町村が処理責任を持ちますが、排出事業者にも一定の責任があります。

産業廃棄物

  • 事業活動に由来する特定の種類の廃棄物
  • 一般的には有害な性質を持つもの(例:燃え殻、汚泥、廃油など)が多い
  • 主に製造業、建設業、医療業など特定の産業で排出される
  • 排出事業者が処理責任を持つ

事業ごみ(事業系一般廃棄物)

  • 事業者が排出する産業廃棄物以外の廃棄物
  • 一般的には有害な性質を持たない(例:オフィスの紙くず、食品廃棄物など)もの
  • オフィス、小売業、飲食業など、特定の産業に限らず幅広い事業活動から排出される
  • 市町村が処理責任を持つが、排出事業者にも一定の責任がある

産業廃棄物の種類

一般的な産業廃棄物の種類には、以下のようなものが挙げられます。

1.燃え殻(灰かす、石炭ガラなど) 燃焼過程で出る残渣。

2.汚泥(ケミカルスラッジ、下水道汚泥など) 水処理や化学処理で出る固形物。

3.廃油(潤滑油系廃油、切削油系廃油など) 機械やエンジンの潤滑、金属加工で使用された後の油。

4.廃酸(廃硫酸、廃塩酸など) 化学反応や洗浄で使用された後の酸。

5.廃アルカリ(石炭廃液、アンモニア廃液など) 化学反応や洗浄で使用された後のアルカリ性物質。

6.廃プラスチック類(廃発泡スチロール、廃合成繊維など) 製品製造や包装材料として使用された後のプラスチック。

上記以外にも、医療機関で出る感染症のリスクを持つ「感染性産業廃棄物」や、廃PCB、PCB汚染物、廃石綿など人体や環境に特に有害な物質とされる「特定有害産業廃棄物」など、特別管理を要する産業廃棄物など、多くの種類の産業廃棄物があります。

産業廃棄物の適切な処理の重要性

産業廃棄物の適切な処理が重要な理由はいくつかありますが、主な点を以下に挙げます。

環境保護

汚染防止 産業廃棄物の不適切な処理が行われると、土壌や水質が汚染される可能性があります。

持続可能な資源管理 リサイクルや再利用が可能な産業廃棄物も多く、産業廃棄物の適切な処理によって資源を有効に活用できます。

人々の健康

有害物質のリスク軽減 産業廃棄物には有害な化学物質や感染症のリスクを持つものがあり、これらが人々の健康に影響を与える可能性があります。

法的責任と社会的信頼

法的遵守 産業廃棄物の処理は多くの国で法的に規制されており、産業廃棄物の不適切な処理は罰則を伴う場合があります。

企業イメージと信頼性 適切な廃棄物処理は企業の社会的責任(CSR)にも関連し、信頼性やイメージに影響を与えます。

経済的な側面

コスト削減 長期的には、適切な廃棄物管理によって処理コストや罰則による損失を削減できます。

グローバルな課題への対応

気候変動 産業廃棄物の中には温室ガスを排出するものもあり、産業廃棄物の適切な処理が気候変動対策にも寄与します。

以上のように、産業廃棄物の適切な処理は環境、健康、法的な遵守、経済的な利益など、多方面にわたる重要な影響を持ちます。それゆえに、産業廃棄物の適切な管理と処理は非常に重要な課題とされています。

産業廃棄物管理に関する日本の法律や規制

産業廃棄物の法律や規制 産業活動が進む現代において、その裏には大量の廃棄物が生まれています。これらの廃棄物が適切に処理されない場合、環境への影響は計り知れません。特に日本のような狭い土地においては、産業廃棄物の適切な管理と処理が急務となっています。しかし、これらの課題に政府はどのように向き合っているのでしょうか?以下に、産業廃棄物管理に関する日本の主な法律や規制を紹介いたします。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律、通称「廃棄物処理法」や「廃掃法」とは、生活環境の保全と公衆衛生の向上を目的として、廃棄物の排出抑制とその処理の適正化を図る法律で、昭和45年12月25日に公布されました。この法律は産業廃棄物の適切な処理を確保するために制定され、排出事業者にはその処理が義務付けられています。特に、有害な産業廃棄物については「特別管理産業廃棄物」として指定され、より厳格な管理が求められています。

産業廃棄物の適正管理の促進等に関する法律(産業廃棄物マニフェスト制度)

産業廃棄物の適正管理の促進等に関する法律、一般に「産業廃棄物マニフェスト制度」として知られるこの法律は、産業活動に関連する廃棄物の管理とその処理の透明性を確保するために制定されました。この法律の下、排出事業者および処理業者は、産業廃棄物の処理に関する具体的な情報を文書化する義務があります。この文書化された情報、マニフェストと呼ばれるものは、廃棄物の処理過程を明確にし、その透明性を保証するためのものです。この制度により、企業は責任を持って産業廃棄物の適切な管理と処理を実施することが要求され、その結果、環境保護と公衆衛生の向上に寄与しています。
産業廃棄物マニフェストについてはこちら

土壌汚染対策法

土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止を目的として2003年2月15日に施行されました。この法律の背景には、過去の産業活動により有害物質が土壌に混入し、それが地下水や作物に影響を与える可能性があるという懸念がありました。この法律のもとで、多くの土地所有者や企業が、土壌の健康を確保し、公衆衛生や環境を守るための活動を行っています。

この法律は、土壌汚染を防止するために制定されていますが、産業廃棄物が土壌汚染の原因となる場合もあるため、関連することがあります。

水質汚濁防止法

水質汚濁防止法は、河川、湖沼、海などの水域の水質を汚染から守ることを目的として制定された法律です。産業廃棄物から派生する廃水の管理もこの法律で規制されています。

化対法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)

化対法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)は、新しく市場に出る化学物質や既存の化学物質の安全性を確認し、人々の健康や環境を守るための法律です。具体的には、化学物質の製造、輸入、使用に関する情報を集め、そのリスクを評価・管理することを目的としています。産業廃棄物が特定の化学物質を含む場合、その処理や再利用に際して化対法の規制を考慮する必要があります。

地方自治体の条例

各都道府県や市町村によっても、産業廃棄物に関する独自の条例やガイドラインが設けられている場合があります。

これらの法律や規制は、産業廃棄物が環境や人々の健康に悪影響を及ぼさないようにするため、また、その処理が透明かつ適切に行われるようにするために存在しています。違反した場合には、罰則が科されることもあります。

産業廃棄物を適切に処理する際の注意点

産業廃棄物を適切に処理する際の注意点 産業廃棄物の適切な処理にはいくつかの重要な側面があります。まず、廃棄物の種類と特性をしっかりと理解することが基本です。これにより、法的な要件や環境への影響を正確に把握し、適切な処理方法を選ぶことができます。
例えば、「特別管理産業廃棄物」であれば、その処理には特に厳格な規制が適用されるため、法的な遵守が非常に重要です。

次に、選択する処理業者が適切な資格や許可を持っているか確認することも重要です。これは、廃棄物が法的にも環境的にも適切に処理される保証となります。また、処理業者が提供するサービス内容とコストをしっかりと評価することで、費用対効果の高い処理方法を選ぶことができます。

さらに、処理過程の透明性とトレーサビリティも重要な要素です。これにより、万が一の事故や不正が発生した場合でも、その原因を特定しやすく、責任を明確にすることができます。文書化された証拠(例えば、マニフェスト)がしっかりと提供されるかどうかも、この点で考慮すべきです。

最後に、環境への配慮も欠かせません。可能な限りリサイクルや再利用を促進することで、環境負荷を低減するとともに、持続可能な資源管理にも貢献できます。

産業廃棄物処理会社を選ぶ際に注意すべきポイント

資格と許可

産業廃棄物処理業許可、特別管理産業廃棄物処理業許可など、会社が適切な許可や認証を持っていることは基本中の基本です。また、廃棄物の種類に応じて専門的な処理が可能かどうかも確認する点は重要です。

信頼性と評判

会社の過去の実績や顧客評価を調査することで、その業者の信頼性を判断することができます。事例が掲載されており、またその事例が同業界で同規模のものであれば、かなり信頼できる可能性が高いです。また、他の企業や業界関係者からの推薦や口コミも参考にすると良いでしょう。

サービス内容

業者が提供する処理方法が、法的にも環境的にも適切であるかを確認する必要があります。また、処理過程が透明で、必要な文書(マニフェスト等)がしっかりと提供されているかも確かめるべきポイントです。

コスト

産業廃棄物の処理費用を確認する際、業界の相場を調査したり、複数の会社からの見積もりを比較することは不可欠です。また、サービスの内容や範囲を明確にし、提供されるサービスがコストに見合っているかも確かめる必要があります。さらに、初期費用だけでなく、将来的に発生するメンテナンス費用や追加料金にも注意が必要です。具体的には、契約の詳細を確認し、会社に直接問い合わせて、明示されていないが発生する可能性のある費用、例えば運搬費や特別な処理料金などについても把握することが大切です。

対応力

突発的な廃棄物処理のニーズや特殊な要求に対応できるか、また緊急時に迅速に対応できる体制が整っているかも確認ポイントとなります。

環境への配慮

可能な限り環境に優しい処理方法を採用しているか、そして企業の社会的責任(CSR)として環境保護に対する取り組みや方針が明確であるかも重要です。

これらの要点を総合的に考慮し、複数の業者と比較検討することで、最も適した産業廃棄物処理業者を選ぶことができます。特に法的な要件と環境への配慮は重要な要素であり、これらを確認することで後々のトラブルを避けることができます。

産業廃棄物の処理の流れ

産業活動から生じる廃棄物は、私たちの生活や環境に大きな影響を与える可能性があります。そのため、これらの廃棄物の適切な処理は非常に重要です。ここでは、産業廃棄物の処理の基本的な流れを簡潔に紹介いたします。

1

発生源での分別

産業廃棄物は、発生源である工場や事業所でまず分別されます。有害な廃棄物、再利用可能な廃棄物、焼却や埋め立てが適した廃棄物など、種類に応じて適切に分けられます。

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2

収集・運搬

分別された廃棄物は、専門の収集車やコンテナで適切な処理施設へ運ばれます。

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3

中間処理

一部の廃棄物は、再利用やリサイクルを目的として、中間処理施設でさらに分別、破砕、圧縮などの処理を受けます。

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4

最終処理

焼却燃やせる廃棄物は焼却施設で焼却され、熱エネルギーの回収や有害物質の排出を最小限に抑えます。

埋立焼却できない廃棄物や焼却残渣は、適切に処理された後、埋立地に埋め立てられます。

特別管理特に有害な廃棄物は、特別な方法で処理され、人や環境への影響を防ぐために安全に保管されます。

次のステップへ
5

リサイクル

一部の廃棄物は、リサイクル施設で新しい製品や材料として再生されます。

次のステップへ
6

最終的な廃棄物の追跡

産業廃棄物マニフェスト制度に基づき、廃棄物がどのように処理されたのか、その情報が文書として残され、透明性を保つことが求められています。

これらの手順は、産業廃棄物の適切な管理と処理を保証するためのものです。適切な処理を通じて、私たちは環境の健康を維持し、公衆衛生を保護する責任を果たしています。特に都市部や工業地帯では、これらの処理が極めて重要であり、持続可能な社会の構築に向けての大きな一歩となっています。

産業廃棄物の処理の基準

私たちの周りには、日々数多くの産業廃棄物が生まれています。これらの廃棄物をどのように安全かつ効果的に処理するのか、その基準やルールは実は非常に厳格です。以下では、これらの基準をわかりやすく解説します。

産業廃棄物の処理には、以下のような基本的な基準やルールが設けられています。

適切な分別

産業廃棄物は、発生源で適切に分別される必要があります。有害性のある廃棄物、再利用可能なもの、一般的な廃棄物など、その性質に応じて適切に分けられます。

特別管理産業廃棄物

特に有害性の高い廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として指定され、厳しい管理と処理が要求されます。この特定管理産業廃棄物は、具体的には、カドミウム・水銀・鉛などの有害重金属を含む廃棄物、トリクロロエチレンなど特定有機溶剤を含む廃棄物、PCBやダイオキシン類など特定の化学物質を含む廃棄物などがあります。

適切な処理方法の選択

産業廃棄物の種類や性質に応じて、焼却、リサイクル、埋立など、最も適切な処理方法が選ばれます。

処理施設の基準

廃棄物を処理する施設は、安全な場所への設置、設備の性能と安全性、排出ガス・廃水の処理、残渣の適切な処分、安全対策、定期的な点検・メンテナンス、および環境モニタリングなど特定の基準を満たす必要があります。これは、環境への影響を最小限に抑えるためのものです。

処理後の確認

廃棄物が適切に処理されたかどうかを確認するため、排出ガスのモニタリング、廃水の質分析、残渣の評価など、定期的な監査や検査が行われます。

情報の透明性

産業廃棄物マニフェスト制度を通じて、廃棄物の処理に関する情報が記録され、その透明性が確保されます。

これらの基準やルールは、産業廃棄物が環境や人々の健康に悪影響を与えないようにするためのものです。産業活動によって発生する廃棄物は、適切に処理されることで、持続可能な社会の実現に貢献しています。

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